今、多くの企業で導入されているDC(確定拠出年金)制度(以下、DC制度とします)ですが、私の旦那の会社もいよいよ導入がされるようです。
その導入説明会があった日、旦那は「訳わかんない」といって資料だけを私に渡してきました。私は、“DC制度は専業主婦でも加入出来て、お得!”という内容をテレビで一度見ただけでイマイチどんな制度なのかよくわかりませんでしたが、会社から貰ってきた資料を見る限り、「そんなうまい話があるわけない」と思い、夜を徹して調べました。
そのまとめをここに書いていこうと思います。
節税メリットには3つあると言われています。
①掛け金は全額所得控除の対象となり、その年の所得税と翌年の住民税が軽減される
②運用期間中に発生した収益に関しては非課税
③受け取り時にかかる税金にも節税の仕組みがある
①について
これは会社にとっては人件費を減らすことを意味します。
そして、DC制度に加入することで実質の給料が下がると厚生年金や健康保険などの保険料を決める標準報酬月額の等級も下がります。これが下がると目先の社会保険料が下がるメリットがありますが、将来受け取る厚生年金の額や社会保険から受け取る給付もさがります。
社会保険の給付に関しては、障害厚生年金、遺族年金、傷病手当金、出産手当金、育児休暇、失業保険があげられます。これらの支給が減額されても問題ないと言い切ることは私としてはできません。
我が家はもう出産手当金、育児休暇の手当てに関しては給付を受けることはないと思いますが、今後、旦那が障害者となる可能性もありますし、死んでしまって遺族年金で遺された家族が生活をしていかなければいけなくなることも考えられるし、鬱で再び休職して傷病手当金を必要とするかもしれませんし、クビになって失業保険を必要とすることも充分に考えられます。
ただし、標準報酬月額が等級最上の50等級(月収約135万円以上)で給与から拠出しても等級が下がらないのなら加入して問題は無いようです。
②に関してですが、儲かれば税対策になるけれど、損する可能性も充分にあります。
③に関しては、老齢給付金として年金受け取りの形をとると雑所得として公的年金等控除が適用されます。
一時受け取りをしようとすると退職所得として退職所得控除の適用を受けられますが、企業年金・退職金との兼ね合いに注意しないと退職所得控除の枠をはみ出てしまい、税負担を余儀なくされることになりかねません。
障害給付金の場合は所得税非課税、死亡一時金の場合は相続税の課税対象、脱退一時金は所得税課税(一時所得扱い)となります。また、障害者若しくは死亡した場合は、年齢に関わらず給付金を受け取ることができるようです。
積み立てた預貯金をおろす時に所得税は払いませんがDC制度は課税されます。また、いつでも引き出せることが可能なお金ではないという点も注意が必要です。
ここからDC制度を考えていく上の一つのポイントとして退職金一時金にかかる税金は勤続年数に応じた非課税枠があります。
この非課税枠の計算は難しくはなく、簡単なので計算がすぐにできます。
計算方法は20年間は1年あたり40万円、21年目以降は一年あたり70万円です。(勤続年数が20年以下で80万円に満たない場合は80万円となり、勤続年数の1年未満の端数は1年に切り上げとなります)
家の旦那の場合だと60歳で定年すると仮定すると42年勤続することになります。
なので 40万円×20年+70万円×22年=2340万円 です。
この金額が退職所得控除でみなし経費として退職金収入から差し引くことができ、それに1/2をかけた金額に対して所得税と住民税がかかるそうです。
例えば42年勤続し退職金が2000万円だった場合、退職所得控除額は2340万円となり、
2000万円-2340万円=▲340万円 なので所得税・住民税はかからず、退職金の手取りは2000万円となります。
もう一つの例として同じく42年勤続し退職金が2500万円だった場合、退職所得控除額は2340万円はかわらないので、
2500万円-2340万円=160万円
これに1/2をかけた金額 160万円×1/2=80万円
これに対して所得税・住民税が課税されます。
所得税は5%の4万円、住民税が10%の8万円 合計12万円
退職金の受取額は2500万円-12万円=2488万円 となります。
この様に退職金税制はかなり有利である上、分離課税(退職金だけ単独で税金の計算を行う)なので、退職金を受け取った年の給与収入の税率が高くなるということもありません。そして、退職金を年金受け取りにした場合はみなし経費を差し引くことがでるそうです。これを公的年金等控除と言います。
たとえば公的年金等の収入が年300万円だとするとみなし経費の公的年金等控除は120万円なので300万円-120万円=180万円が雑所得として課税されます。
(参考:国税庁ホームページ)
このDC制度は業界と政府が作っているものです。お得な制度だからと皆が思ってくれて、この制度に加入する人が増えれば増えるほど金融業界は手数料収入で潤うことができ、政府は一旦は所得税を得ることができなくても、後々しっかりと取り戻すことができる制度になっているようです。
我が家の場合だと退職金がいくら貰えるのか、わからない状態なのに加入するか加入しないかを決めろと言われても無理だから、加入しないに越したことは無いように思いました。
会社が作ってきた資料によると20年間運用利回り年2.0%で25000円を掛け金とした場合、掛け金総額が600万円、メリット額が242万円、ということで842万円を得るということのようですが、それなら2340万円ー842=1498万円の退職金支給額でないと税金を支払う必要が出てきます。
ちょっと前に聞いたことがある額だと50歳で会社を辞めたら1500万円の退職金だと言われていることを考慮すると、こんな制度に今旦那が加入する必要性を私は全く感じません。
うまい話はやっぱり存在しないな。という私の結論でした。
ここまで読んで下さってありがとうございました。